湿度について勉強しよう

ムシムシする梅雨の季節、肌に衣類が張りつくような不快な感覚、冬の乾燥空気で眼や鼻、唇が乾くのもいやなもの、霧の出る季節には車の運転に注意、しかし夏のキャンプ場、朝小鳥のさえずりで目が醒めて、テントの外に出た時の肌にシットリした良い感覚。これらはすべて空気中の水分のなせるわざ、これを表現するのに『湿度』という目安を用います。日本は、

  • ①梅雨という季節に植物が思いきり葉を茂らせ、背丈を伸ばして成長し…

  • そのあとでギンギラギンの真夏の太陽が照り付けて、適度に夕立ちというスコールがあり、この時期に太陽の恵みで実がグングンと大きくなって…

  • ③快晴の秋がやってくると雨が少なくて実の中にアミノ酸が溜まり甘くなる

三基計装株式会社はAir Conditioningの会社ですから、湿度は空調の重要なファクターです。湿度は制御するほうから言いますと大変難しいものです。たとえば植物の発芽や接木の後は90%超の多湿環境の中で養生しますが、部屋の中にいるのは子供の病人ですから強い風は禁物です。また、天井に結露した水が水滴となって落ちてくると葉を傷めてしまいます。気流無く、結露水滴落下無く、しかも95%などという湿度を安定して実現するには?と考えると、その難しさがおわかりになるでしょう。
また低湿度の制御をするにはまず除湿しなければなりません。冷凍サイクルによる除湿で間に合えば良いのですが、除湿機を使うとなると高価になります。湿り空気線図とにらめっこして設計します。
さらに厄介なのは、湿度を制御したいときは大抵温度も制御したいという場合が圧倒的です。圧力が一定だとしても温度が少し変っただけで湿度は大きく動きます。すなわち温度と湿度は、どちらかを制御しようとすると他方に影響するという、あちら立てればこちらが立たずということが起き易い複合制御なのです。

前置きが長くなりました。それでは湿度に関する各種用語について勉強しましょう。

湿度に関する各種用語について

湿度というのは普通、相対湿度のことを指し、単位は%RHで表します。相対湿度はその空気の含み得る水の割合を示し、RH:Relative Humidity(相対湿度)という意味です。
温度と圧力が変化すれば飽和水蒸気圧(Saturation Vapor Pressure)が変わるので相対湿度は変化します。単位体積中の水分量が変わりなくても、空気温度が上がれば相対湿度は下がり、空気温度が下がれば相対湿度が上がって、露点(Dew Point)に達すると結露します。これは義務教育で習ったことですが、覚えていらっしゃいますか?
気体中に含まれる水蒸気の量には限度があり、これ以上含まれない限度状態を飽和状態と言います。これも温度、圧力により変化します。温度が高い気体ほど多くの水蒸気を含む事が出来るので、その気体を冷却すると、その中に含まれる水分量は変わらなくても、相対湿度は増加し、ある温度になると相対湿度RHは100%となって飽和に達し、これをさらに冷すと水蒸気の一部が凝縮して露を結ぶのです。「霧の摩周湖」などではこういう現象が起きるのです。

さて、具体的数値で見てみましょう。相対湿度は温度が変化するとそれより大きく変化します。すなわち温度上昇に対してエクスポネンシャル(指数関数的)に飽和水蒸気量は上昇します。これは温度が高い程多くの水分を含み得るという空気の性質を示しています。
例えば0℃と22℃での空気は、同じ相対湿度50%でも、その水分量は1.9g/kg'と8.2g/kg'であり、4倍も違います。0℃で50%の空気を暖めて22℃にするとその相対湿度は11%となり、水分量は同じでも湿度は下がります。22℃で50%の空気にするには、更に、水分差6.3g/kg'を補給しなければなりません。そこで冬季は加湿が必要となるわけです。
例えば23.5℃、40%と20℃、50%はほぼ同じくらいの快適さです。人間にとって快適な湿度は冬季40%~60%ですから、冬季加熱して温度を上げてやるエネルギーよりも加湿するほうが省エネになるわけです。

[参考]快適空気環境

人間にとって快適な温湿度範囲は、

季節 夏季 冬季
温度 26~27℃ 20~22℃
湿度 50~60% 40~60%
気流 0.3m/s 0.3m/s

というように、冬季は夏季に比べて、快適温度と快適湿度が低く、これは外気に対応して人間が衣服を調節するからと思われます。

湿度に関する用語

相対湿度 %RH
(Relative Humidity)
気体中(通常空気中)に含まれている水蒸気量(水蒸気分圧)とその空気と同じ温度に於ける、飽和水蒸気量(飽和水蒸気分圧)との比の100倍(パーセント)で表される。
絶対湿度 g/m3
(Absolute Humidity)
単位体積(1m3)の気体中に含まれる水蒸気の質量(g)である。
ただし温度および圧力の変化により気体体積が変わるため、含まれる水蒸気量は同一でも、絶対湿度は変化する。
飽和水蒸気圧
(Saturation Vapor Pressure)
気体中にこれ以上水蒸気が含まれない限度状態を飽和といい、この時の水蒸気圧をいう。これも温度、圧力により変化する。
露点
(Dew Point)
相対湿度RHが100%となって飽和に達し、水蒸気の一部が凝縮して露を結ぶ状態。
露点が0℃以下で凍っていれば霜点(Frost Point)という。
露点温度
(Dew Point Temperature)
空気を冷して露点に達する時の温度。
不快指数
(Temperature Humidity Index)
乾湿球温度計の(乾球温度td+湿球温度tw)×0.72+40.6で表わす。
不快指数が70~75で半数が不快、80以上でほぼ全員不快を感ずるといわれる。
乾球温度 ℃
(DB:Dry bulb temperature)
空気の温度そのもの。
湿球温度 ℃
(WB:Wet bulb temperature)
外部と断熱された系統内で気体と液体とが接触し、気体から液体に熱が伝わり、その熱量分布だけ液体が蒸発し、気体の温度、湿度および液温が変化しないような平衡状態になった時の液温(℃)。
空気線図 水蒸気を含んだ空気(湿り空気)の性質を表わした図のことで、横軸にエンタルピー(i)、縦軸に混合比(X)をとった図で、その図の1点がある空気の状態を表わすので状態点と呼ばれ、この状態点がわかれば、その状態の空気の乾球温度、湿球温度、露点温度、混合比、相対湿度、あるいはエンタルピーを求めることが出来る。
不快指数 kcal/kg
(Enthalpy)
乾燥空気の顕熱と水蒸気のもつ顕熱+潜熱の合計すなわち湿り空気の保有する熱量の総和を表す。湿り空気のエンタルピーは0℃の乾き空気のエンタルピーを0とし乾き空気1kgあたりのkcalで表す。
混合比"X"
(humidity mixing ratio)
水蒸気以外の空気(乾き空気)1kgに対し、水蒸気をXkgの割合で含んだときの質量の割合X(kg/kg)を混合比と云い、温度圧力が変って体積が変化しても、水蒸気量の変化がなければ、混合比は変化しない。そのため、計算上便利なので工業上では混合比を絶対湿度と呼ぴよく便用される。Xは質量規準である。
顕熱 kcal/kg 物体の温度の上昇下降にしたがって出入りする熱量を表す。温度Tの乾き空気1kg当りの顕熱は0.24Tである。0.24は乾き空気の質量比熱(kcal/kg℃)である。
潜熱 kcal/kg 物体が蒸発、凝縮などの相変化をおこすときに出入りする熱量を表す。温度の上昇下降があっても出入りする熱量はない。温度Tの水蒸気1kgの潜熱は(597.3+0.44T)である。597.3は蒸気の気化潜熱である。
顕熱比"SHF"
(Sensible heat factor)
空気の温度および湿度が変化するとき全熱量(エンタルピー)変化に対する顕熱量の変化の比率である。すなわちSHF=(Cp*⊿t)/⊿iである。Cp:定圧比熱、⊿i:エンタルピー変化量、⊿t:温度変化量
熱水分比"μ" 不飽和空気が、他の物体(たとえば別の空気、水、水蒸気等)から熱と水分を受ける場合、その空気のエンタルピーの変化量⊿iと絶対湿度の変化量⊿Xとの比をいう。μ=⊿i/⊿X
比重量"γ" 標準状態(温度0℃、圧力760mmHg、重力加速度g=980、665cm/S2)での乾き空気の比重量γは1.293kg/Nm3である。空気中の水分の重さは約1~2%である。もちろん湿度圧力で変化するが空調では湿り空気の比重量を1.2kg/m3として計算することが多い。
比容積 乾き空気1kgを含む湿り空気の容積を云う。比重量の逆数である。
従って1/1.2=0.833m3/kg〔DA〕である。
ここにkg〔DA〕は乾き空気1kgを表す。
比熱 "Cp" 湿り空気の温度を1℃変えるときの熱量の変化でCp=0.240+0.44χで表す。
Cp:湿り空気の定圧比熱〔kcal/kg(DA)・℃〕
χ:湿り空気の絶対湿度〔kg/kg(DA)〕
標準温湿度状態
(JIS-8703)
常温常湿とは温度 20±15℃、相対湿度 65±20%RHを指す。