クリーンルーム基本情報

クリーンルームに関する説明のページです。
※キーワードや専門語、空気清浄用語についてはオレンジ色で表示しています。

クリーンルームの基本

クリーンルームは一般に既存建屋の中に施工され、建物の梁を利用して吊り天井方式をとるのが普通です。左下写真のように無柱式構造としたり、右下写真のように既にある部屋を改造してクリーンルーム化する施工方法など各種方法があります。パネル工法(プレハブ工法)により比較的短期に施工できます。

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△クリーンルームの俯瞰図

  • 建物構造にフィットした設計をして欲しい

  • 精密な温湿度制御をしたい

  • 短納期で施工したい

  • できるだけローコストにして欲しい

クリーンルームの定義

  • 1.コンタミネーション(汚染)コントロール(管理)が行われている空間

    空気清浄化を中心に各種汚染管理が行われます。最終的に外部からの汚染源の最たるものは「作業者」です。
    人間が上腕を振るだけで6~20万個の塵埃が室内に撒き散らされると言われています。

    注)空気清浄に関する英語・・・清浄:cleanness(クリーンネス)、清浄度:cleanliness(クレンリネス)
  • 2.浮遊微粒子、浮遊微生物が規定清浄度レベル以下に保持されている

    注)汚染物質を非汚染物に運ぶ媒体を空気清浄用語ではキャリアと呼びます。空気や工具などです。粒子:particle(パーティクル)は形状も大きさも様々です。また粉塵:dust(主として物理的破砕過程で生じるもので、固形物の組成が変らないまま小さい粒状になって分散した粒子)、エアロゾル:aerosol(気体中に分散している固体または液体の微細粒子)、荷電粒子:ion particle(正または負の電荷を持つ超微粒子)、ミスト:mist(微小な液体粒子が空気中に浮遊している系)、フューム:fume(冶金工程などで溶融物質から揮発したガス状の物質が凝縮して固体または液体の微小粒子となり、空気中に浮遊している系)など各種名称で呼ばれます。煙や霧も粒子の一種です。ガスは粒子とは区別されます。

  • 3.材料、薬品、水なども要求される清浄度が保持されている

    空気に塵埃が混じって室内に導入されることを防いでも、持ち込まれる材料、薬品、水が汚染されていたら結果的に室内が汚染されますので、これらの清浄性も管理されなければなりません。

  • 4.温度、湿度、圧力などの環境条件が管理されている

    空気質のなかでも温度と湿度(空気中水分量)は作業者、機械装置に対して最も重要な要素である場合が多く、空気調和はクリーンルームの性能、価格を左右するポイントになります。また一般的にICRもBCRも室内を陽圧にして外部からの汚染空気や虫、菌などの侵入を防ぎますが、BCRの中で、バイオハザードルームというものでは、室内を陰圧にして外部へ危険物が漏れないように制御します。

  • 5.クリーンルームの種類

    ICR …Industrial Clean Room(工業用)
    BCR …Biological Clean Room(菌制御用)
    ※BCRという言葉は登録商標です。

    菌は塵埃に付着して落下しますのでどちらも空気中の塵埃を減らせばよいのですが、上記のように圧力制御が逆である場合があります。

クリーンルーム関連規格

JIS規格は下記3種が代表的です。
○JIS B9919:2004 クリーンルームの設計・施工・スタートアップ
○JIS B9920:2002 クリーンルームの空気清浄度の評価方法
○JIS Z8122:2000 コンタミネーションコントロール用語

国際規格はISO14644-1です。しかし今でもお客様も業者もクラス10,000などFED規格表現がほとんどです。空気清浄の元祖であるアメリカ連邦規格のFED209規格は、国際規格が制定されたことに伴って廃止されましたので、ISOへの意識改革が必要です。ISO規格は対象粒径毎に詳細に規定され、かつ広範囲であり、単純なFED規格とは異なるのですが、半導体工場や官庁等を除く大半のお客様はあまり気にされないようです。JISがISOのベースとなったということは素晴らしいことです。

クリーンルーム仕様のチェックポイント

  • 1.室内寸法、既設建物室内有効高さ、床耐荷重、照明

  • 2.空気清浄度

    クラス○ 対象粒径0.1、0.3、0.5、その他μm

  • 3.空調条件

    夏冬個別に温度○℃±○℃、湿度○%±○%

  • 4.周囲条件

    クリーンルーム、空調室、屋外同等、雰囲気、塩害有無

  • 5.排気風量

    ○○m3/min、熱回収:要/不要

  • 6.気流関係

    層流と乱流 ダウンフローが一般的だが、まれに横吹きあり

  • 7.室内発生熱量

    機械設備電力、稼働率

  • 8.室内人員

    ○名

  • 9.気流速度と換気回数

    空気清浄度は塵埃捕集効率によって決まります。現実には室内に清浄空気をグイグイと押し込むことによって、塵埃を含んだ空気を室外へ押し出し、空気をきれいにします。
    クラス5(FED:クラス100)以上の空気清浄度を要求された場合、気流は層流であることが求められます。乱流ですと戻ってくる塵埃を除去しきれないからです。空気の流速はクラス5で、0.2~0.5m/s程度が必要です。クラス6(FED:クラス1000)以下ならば室内空気の換気回数○○回/Hによって空気清浄度が決まります。例えばクラス6(FED:クラス1000)ならば室内空気をおよそ1分で全部入れ替えなければなりません。ただし同容積でも天井高さにより風速が変るため、一概には言えません。クリーンルームとクリーンブースでは目安の換気回数の数値が異なるのはこのためもあります。

  • 10.建物

    既存・新築・設置階

  • 11.附帯設備、音圧、振動、廃棄物、人間工学、保守

クリーンルームの4原則

  • 1.塵埃・細菌を室内に持ち込まない

    エア・フィルタ使用と漏れ防止、エアシャワーやパスボックスによる入室管理、陽圧方式、ダンボール等発塵媒体の持ち込み禁止

    注)エアシャワーやパスボックスは空気清浄用語で言うところのエアロックするための機器です。エアロックとは清浄領域と非清浄領域との間の移動や搬出入に際して、汚染空気が流入したり、清浄空気が流出したりすることを避けるまたは最小にするための特殊な機構を言います。領域の両側開口部に扉を設けて同時には開かないようにする機構を設けます。
  • 2.塵埃・細菌の発生を極力抑える

    材料の管理、無塵服・マスク・キャップ・手袋等の着用、人間の作業を最少化、無塵紙使用

    注)空気清浄に関する英語・・・無塵服:clean room garment(ガーメント)、lint free(リントフリー)と呼ばれる脱落の少ない繊維が使われる。
    また最近ではアウトガス(outgassing)が問題化している。これはシックハウスに象徴されるようにクリーンルームの構成材から出るガスのことで、特に温度などの環境変化により放出が促進される。
  • 3.塵埃・細菌を速やかに排除する

    材料の管理、無塵服・マスク・キャップ・手袋等の着用、人間の作業を最少化、無塵紙使用

    十分な換気、発塵したものが最短排気される構造、発塵部からのフード&ダクト排気
  • 4.塵埃・細菌を堆積させない

    空気溜りゾーンを作らない、結露防止、巾木施工(Rを付ける)、拭き取り定期清掃

クリーンルームの気流方式

  • 1.一方向流方式

    垂直層流(ダウンフロー)方式(下図)、水平層流(クロスフロー)方式(病院の手術室、光ファイバ製造ライン等で用いられる)
    垂直層流方式はクラス1~5(~FED:クラス100)の高レベルクリーンルームに最適。水平層流方式は立体的なプロセスに用い、吹出口がもっとも清浄度が高く、下流では上流の発塵の影響を受けます。したがって要員の位置はプロセスの下流にすることが望ましいことになります。ただし病院等では院内感染防止の観点から、医師や看護師を上流に、患者を下流に置くことがあります。


    △天井全面にエアフィルタ設置

    床面グレーチング(上図では床吸込グリルとなっている部分)から床下に吸い込み排気と循環。床下高さを多くとれば、空気の反射乱流が無いため清浄度をより高くできます。清浄空気吹出口と吸気口を極力対向させて配置し、気流をより平行な流線に維持します。クリーンルームの中でも壁に近い部分は作業者の入退室や材料の搬入、製品の搬出、廃棄物の搬出を伴うため、どうしても汚染にさらされがちです。
    実際に高清浄度を必要とするエリアはルーム内の中心部にあり、これを「プロセスコア」と呼びますが、ここで気流の乱れを最少にすることが設計上のポイントです。
    半導体前工程のように高清浄度を要求され、発熱負荷が大きい場合、「外調機+顕熱処理方式」を採用することが多いようです。また空気循環を行わず、外気を吸気してクリーンエアとして室内に送り込み、全量排気してしまう方式を「オールフレッシュ方式(※1)」と言います。

    ※1)オールフレッシュ方式とは・・・空気調和の世界では空気をその性状によって4通りの名称を付けて呼びます。
    OA(Outlet Air:外気)…屋外の空気。クリーンルームでは汚染空気
    SA(Send Air:給気)…空調機から室内へ送り込む”空気調和された”空気。クリーンルームでは清浄空気
    RA(Return Air:還気)…室内から空調機へ戻ってくる循環空気。クリーンルームでは室内の塵埃を含む汚染空気
    EA(Exhaust Air:排気)…室内から屋外へ排出する空気。クリーンルームでは室内の塵埃を含む汚染空気
    という4種です。オールフレッシュ方式とは上記のうちRAが無い、すなわち外気導入された空気を100%排気してしまうことを意味します。この方式はクリーンルーム内の発塵が多くて空気が非常に汚染される場合、環気によるフィルタの汚染が無くなる利点があります。また、爆発性雰囲気では常に室内へ新鮮空気を送り込んで陽圧にすることによって内圧防爆構造の形になり、安全面からこの方式がとられることがあります。しかし夏場や冬場という、外気温度が高い、もしくは低いときには室内負荷と外気のエンタルピー差が大きいので、空調機はその最大値に対応できる能力を備えなければなりません。循環方式は、一度空気調和された空気に室内負荷が加わるものの、夏場や冬場の外気温度に較べればエンタルピー差が小さいので、RAとOAを適度な混合比で空調機に送り込む循環方式を採用しますと空調機が小型で済み、省エネにもなります。余談ですが、RAの”Return”を普通日本人は「リターン」と発音しますが、空調業界では「レターン」と言う人が多いようです。何故なのか、不詳です。
  • 2.非一方向流方式・・・乱流(コンベンショナル)方式

    クラス6~8(FED:クラス1,000~100,000)。設備費・維持費とも他より経済的なので、最も多くとられている方式です。

    空調制御方式は、恒温恒湿室一般空調室のどちらか?が重要です。
    一般空調というのは温度が±5℃程度、湿度は成行き(外気の湿度に影響される)ですが、恒温恒湿はお客様のご要求に応じて温度が±1~2℃とか、湿度が±5%RHという具合に制御するものです。
    想定熱負荷…コスト面で重要な要素となりますので、念入りに調査して下さい。
    フィルタの付いた吹出口は、クリーンゾーンに等間隔に配置する場合と、プロセスコア上に集中して配置する場合があります。吸込口は分散させてデッドゾーンが最小になるように注意を払うことが望ましいですが、建物の構造上制約を受けることがままあります。また、クリーンルームでは空気の漏れがないようにすることが大切です。フィルタユニット周りなどが特に要注意です。
    ランニングコスト低減: 外気処理ユニットの設置をお勧めします。
    外調機を用いて空調前処理を行いますと、梅雨時などの室内結露を防ぐことができます。クリーンルーム内は作業員が防塵のための服装に身を固めている関係上、通常の作業環境より空調温度を低くしております。また食品工場では室温を夏場でも15℃程度に保つ部屋があります。そこへ水分をたっぷり含んだフレッシュエアが入ってきますと冷えている壁や床面に湿潤空気が触れて結露を引き起こします。外調機内の冷凍機で予め除湿しておくことでこれを防ぐ効果があります。
    食品工場のクリーンルームには特殊要因があります。乱流(コンベンショナル)方式のクリーンルームですが、空気が床に当たり跳ね返ってくることがあるため、低層部は清浄度が低い可能性があります。また原材料から発塵することもあり、床から一定以上の高さのところに作業領域を設けるべきです。菌は落下するため原材料や製品の保管容器は蓋の付いたものにすべきです。また洗浄、清掃が日常業務であるため、水が床に流れ、水溜まりが起きない排水構造、防錆のためにステンレス構造が必要です。さらに塵埃が溜まりにくい構造、防虫・防鼠、結露対策などがポイントになります。
    この方式の床材は一般に長尺塩ビシートや塗り床で施工します。

  • 3.併用方式・・・層流方式と乱流方式を組み合わせた方式

    この方式は室内をゾーニング(※2:区域分け)して、高清浄度を必要とするプロセスコア上のエリアは天井から層流で吹き出し、他のエリアは非一方向流でも良いというものです。この方式では床にグレーチングを設置することは無いため、床に近い部分では乱流となります。

    ※2)ゾーニングとは・・・空気清浄度や空気調和の関係で領域を分けることを言います。特に食品工場では汚染領域、準清潔領域、清潔領域をゾーニングし、この間の「作業者」の動線、「物品」の動線、「空気」の動線を考慮することがポイントです。
  • 4.トンネル方式

    長いクリーントンネルを作り、装置を工程毎配置して、その中を処理物が通って行く過程で加工や処理が行われます。製造するものが特定されている場合に効率が良く、半導体やフラットパネルディスプレイ、デジタル家電などの製造ラインで多く採用されています。製品と作業員が明確に分離されるため、超清浄空間を実現しやすい方式です。

  • 5.その他

    最近ではコスト面の要求から「ミニエンバイロメント」方式が多くなっています。いわゆる局所清浄化のことです。

クリーンルームの施工

クリーンルームはプレハブ式施工が中心となっています。

  • クリーンルームに最適な断熱性パネル。通常は厚さ42mmのカラー鋼板パネルを用います。
  • カビ発生・塵埃付着しにくい耐久・耐蝕表面材
  • 高耐湿、耐水性の一体構造、掃除し易く衛生的

  • 接合部は完全シール(シリコンコーキング)、高い気密性。巾木施工が効果…R(アール)を付けた巾木(ハバキ)により空気がきれいに流れ、隅に塵埃が溜まるのを防ぐ。また掃除もしやすくなる。
  • 強度があり自立施工、吊り天井方式の無柱式構造
  • パネル組合せにより希望レイアウトで施工
  • 組立、空調機配管、ダクト、電気、冷却塔工事

TCO(Total Cost of Ownership)を考えて設備計画

TCOとは?・・・モノを買うときに使用年限を想定し、購入費用とその後の維持メンテナンス費用を合算した総費用を考えることです。
下図において①は初期導入コストが高価だが維持コストが安い。
対して②は安価だが維持コストがかかる。どちらを選ぶかは使用年限を考えれば良いことになります。得てして当座のお金が無いので②を選んで結局高いものについたり、短期間でライン変更が生じ、①を選んでもったいなかったなどということが発生します。予算制約がなく、使用期間が長い場合は初期コストが高くても①をお勧めします。


△設備使用期間と投資費用の関係図

使用年限Aならば・・・②が得、Bならば・・・①が得です。
維持メンテナンス費用を考えるにあたってはフィルタ等損耗品コストに留意します。これは設備導入時に調査して下さい。
またクリーンルームは外気を導入しますので、外気処理への考慮が必要です。空気清浄化前処理として、プレフィルタ中性能、高性能フィルタを組み合わせた『外気処理ユニット』を使用してプレフィルタを定期的に清掃または交換しますと、初期コストが高くてもメンテナンスコストが下がりますから①のパターンになります。


△外気処理ユニット

またエネルギーコストは重要なポイントです。空調機の選定はこの意味で鍵を握ると言えます。ルームに併せて設計、製作した空調機ならば良いのですが、市販のパッケージエアコンを用いると、その選定や使い方によってはクリーンルームとしてまずい結果になることがあります。それは最近のパッケージエアコンが多機能化、知能化して、省エネ機能まで加わるようになり、インバータで目的温度に合わせて風量自動制御を行うものですから、温度はともかくクリーンルームの最大目的である空気清浄度維持のための風量確保ができなくなる場合があることです。単にきれいな空気を送り込んでくれれば良いと考えて町の空調業者に頼んだら性能が出なかったなどの”事件”はよくある話です。
外気処理(空気清浄化前処理)と外気の空調前処理(外調機)は上で触れたとおりできれば実施して欲しいものです。

クリーンルームと関連機器・ユニット群

三基計装株式会社はクリーンルームメーカーですが、同時にクリーンルーム用機器やユニットのメーカーでもあります。
クリーンルームメーカーのほとんどは機器やユニットを購入して設置しておりますので、自社製作している会社は珍しいと言えます。三基計装ではコンプレッサ、ヒータ、熱交換器(冷却コイル)、加湿器、送風機などを組合せた空調機や、熱源機(ヒートポンプなど)と接続するAHU(エアハンドリングユニット:空気調和機)も製作しております。

クリーンルームの重要な管理点と対策

  • 1.空気清浄度管理

    パーティクルカウンタによる定期的チェック、差圧計による陽圧度・フィルタ目詰まり管理

  • 2.温湿度管理

    記録計設置、データロガーによるデータ集録と保存、計測点の設定と分布計測の必要性検討

  • 3.排気対策

    クリーンルームの排気をそのまま外気へ放出してはならない場合は排気FFUを設置したり、スクラバーを設置します。クリーンドラフトの排気もダクトで誘導して排気します。またクリーンオーブンや発熱する機械の廃熱がクリーンルームの負荷となることが好ましくないため、排熱対策についても考慮が必要です。化学工場や電子機器工場で有害ガス、洗浄排ガスが出る場合は、作業者への危険防止のためフード吸引等により排気します。

  • 4.防爆対策

    爆発や火災を防止する事です。防爆構造と爆発等級、発火度等

  • 5.停電対策

    停電した場合に保安のため必要機器に無停電電源装置を設置する場合があります。また危害が発生する恐れがあり、送風機を回し続ける必要がある場合などは自家発電装置を設置する場合もあります。

  • 6.計測管理とトレーサビリティ

    記録の保存と過去データ追跡は品質管理の重要なテーマとなりました。センサとデータ収集、保存システムについてもご相談ください